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藤原竜也・高杉真宙・佐久間由衣・柄本明 Sky presents 四人芝居「てにあまる」(ネタバレあり)観劇感想 | 意識高い系アラフォー独女のこぢらせブログ

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藤原竜也・高杉真宙・佐久間由衣・柄本明 Sky presents 四人芝居「てにあまる」(ネタバレあり)観劇感想

   

もうすでに全34公演を無事に終えられているため、ネタバレでも大丈夫かなとは思いますが、念のため。

コロナ禍のこの時代、全公演無事に終えられたカンパニーにおめでとうございます!と、お疲れ様でした!

舞台といえばこの人!というくらいの、役者 藤原竜也を生で見る。
そして、映像でもなんでも「くせ者」といえばこの方 柄本明が演出までするというお話。
若くて美しい、高杉真宙佐久間由衣も出演。
豪華すぎる舞台が、どうか直前で中止になりませんようにと祈る数日間でしたわ。

久々の観劇はストレートプレイの会話劇
藤原さんがCMキャストを務めているSky株式会社プレゼンツ。ホリプロTOKYO FMが主催。

ストーリー、あらすじは公式サイトより

一人で暮らす老人(柄本明)の家に、(藤原竜也)がやってくる。老人は戸惑うが、その男は老人を家に連れて帰り、二人の奇妙な同居生活が始まる。
男はベンチャー企業の経営者であり、部下(高杉真宙)が彼を支えている。部下は男の家を訪れ、見知らぬ老人がいるのに驚く。男は「家政夫だ」と老人を紹介する。部下は男に対して盲目的な憧れと畏れがあり、素直に信用する。
ある日部下は、男の別居中の(佐久間由衣)を連れてくる。妻は男と離婚をしたがっており、その話し合いのためだ。家政夫の老人に対して怪訝な目を向ける妻に、老人は不敵な笑みを浮かべる。
妻と部下の関係を疑い、壊れていく男。その様子に心が離れていく妻と部下。
男と妻子の間には何があったのか。そして老人しか知らない、男の過去の真実とは何か。
これは家族をやり直そうとする物語。
あるいは、家族を終わらせようとする物語。

この物語のベースは最後の2行によく現れていると感じましたわ。

目次

ーはじまり、柄本明 演じる父の自宅

男、藤原さん演じる鳥井勇気の生い立ちの背景が、老人演じる江本さん、実は勇気の実の父親である佐々木隆彦とのやりとりから見え隠れする。
彼らの名字が違う理由が、親の離婚によるものというわけではないのだろうと察することができるけれど、それは細かい枝葉の部分をすくい上げて気づくことで、衝撃的なセリフが次々に飛び出してくる。

舞台があけて、とてもリアルな老人の住む小さなボロアパート。
時にクスッと笑えてしまうほどのセリフのやりとりの中から、勇気はTVに取り上げられたりするようなIT系の社長で、老人は借金もあり、生活保護を受けながら生活していることがわかる。

老人に自宅に来て働いて欲しいというオファーでありながら、贖罪の機会を与えてやろうとも勇気は思っている。
実のところ、自分自身がカウンセラーにかかるようになって、過去と向き合い、抱えているものと向き合わなくては救われないと感じたゆえの行動だったんじゃないかという、始まりのシーンだったように思う。

ー場面変わって、藤原竜也 演じる勇気の自宅。

住み込みで働くことになった父とのやりとりの時間。
すでに奥さんと子供の姿はなく別居中。その姿がない理由を、父はすぐに察する。
壁に開いた穴。キッチンの隅に隠してあったボコボコのフライパン

その『衝動』(結果暴力になる)を抑えられないのは自分譲りだと父は思っている。
腹の中に怪物を飼っている。その衝動は抑えられないし、仕方がないものだと思っているようで、悪びれる様子もなく自分だけがお前のことを理解できるかのような言動をする。
親として、子供のことを理解し、守ってやるかのような言動をしたかと思うと、するっと顔を変えて蔑むような笑みで嘘だと言ってのける。その姿、表情の怖さ、柄本明の怪演にゾクッとする。
それに翻弄され、叫び、のたうち回り、薬と酒に溺れ、真っ赤な顔に血管が浮き出た表情でどんどん正気を失っていくように見える勇気。これを34公演やりきる藤原竜也のすごさ…。

ー兄が死んだことがきっかけのトラウマ。

本当に兄を殺したのは誰だったのか?
父は服役を終え、静かに生活をしていた。殺したのは父。

「なぜ兄さんを殺したの?」

勇気の問い。
真実を聞いて、父を許せたら何かが変わるだろうか?
そう思っての同居生活だったかもしれないけれど、「お前が突き飛ばした」(その勢いで頭をぶつけて死んだのが真相)と、自分は身代わりに服役したと新事実らしきことをいう父。

父が語る内容が真実だったかもしれない。ガラスの割れる音に反応してしまう体。記憶にない「その日」の詳細。
連れ子だった兄と、隆彦の実の子である勇気に対する母の態度の違い。
顔も似てくれば、衝動を抑えきれずに暴力を振るう勇気の姿に、母もまた実の息子を思う気持ち以外のものに負けてしまったのかもしれない。

自分は母さんを守る側につくという兄、代わりに父さん側についてやれと言われた自分。
それが真実なら、暴力を振るう父より母の側につきたい気持ちが芽生える年頃でもあるだろうし、兄への嫉妬心も生まれたかもしれない。

いろんな憶測が渦巻くのに、真実は藪の中
真実を知っているはずの父がのらりくらりとして、何も見えてこない。

ー身近に暮らして来た新たな家族と部下。

ある時、マンホールに油を注いでいるところを拾われた、高杉真宙くん演じる部下三島茎水
彼もまた、セリフの端々にを感じる人物だけれど、拾ってくれた鳥井夫妻に理想の夫婦像のイメージを抱いて従順に尽くしてきたのだろうと感じた。
拾われてから会社の仕事を覚え、熱心に勇気に付いて来たのだろう。
ちょっかいをかけられても、キツイこと言われても、家庭の事情にさえ挟まれたとしても熱心に、なんとか(きっと少しはあったのであろう)幸せな頃の二人に戻って欲しいと陰日向に振り回され、支えている。

勇気の妻、佐久間由衣さん演じるに母を描き、勇気に父でいて欲しい気持ちを強く持っていたように思う。
勇気との会話の中で「子供は親を選べませんから」というのが印象に残った。
彼自身が勇気の娘に自分を重ねていたのかもしれないと思うところに、緑は一方で、勇気との関係がうまくいかないそばで熱心に支えてくれる三島に男を求め、母のように慕っている彼の気持ちとのずれが歪みをもたらしているようにも思えた。

理想の両親であって欲しい二人の間の争いに巻き込まれ、三島自身の気持ちも少し距離を置きたくなったのだろうし、決して裏切りや何かではなかったはずなのに、勇気の心には届かない。

勇気に蝕まれ、壊れてしまうのではないか?と思える三島を演じる高杉くんがたまらなくいたたまれない気持ちになったし、後半の無機質感が、彼が生きていないことの現れだったのかと思うと、それを演じられるってとてつもないなと後から後からジワジワと圧倒された。

すっかり妄想幻覚不信感コントロールできない衝動に取り憑かれてしまった勇気の世界は、何が現実で何が真実か、もうわからない。観ているこっちも、どこまでが現実でどこまでが彼の妄想の世界なのか、そもそも、時間や空間でさえも、どこの世界線に今、立っているのか?とさえ感じさせられる演出。
(奈落に勇気が引き込まれていく様子や、三島が床下からじっと勇気を眺めている演出など、混沌としていてとても良かった)

暴力を振るう夫から娘を連れて逃げた、唯一まともな登場人物に見えた妻の緑に至っても、結婚当初、勇気のIT社長としての表面的なところしか見ていなかったり、学級委員長的な正論を持ちながらも、身近な三島に対して「何もなかったといえば嘘になる」と、ちょっかいをかけている様子さえある。
それでもまだ、ちょっと天狗になったり、セレブ感に憧れたり、身近な優しい男性に手を出したり、自分の揺れる様に気づけるくらいの人物でもあった。まだそこが少しの勇気の希望だったのかもしれないと、ほんの少し思わせる人物だった。

ー家族はどうなったのか。

父と暮らしても、兄の死の真相は見えない。
「お前は俺(隆彦)が歩けなかった花道を歩く俺自身だ。」と言って、取り込もうとする。

自分を拒絶する風な母に言えなかった言葉「どうして僕を生んだの?」
死んだ人(兄)には勝てない。アップデートできない現実。
登場人物の全員が、少しずつ?バグっている。

勇気が、自分のことを父のように慕った三島のことを妄想と幻覚に引っ張られて手にかけてしまったのはきっと、三島が独立してしばらくのことで、緑が離婚の話し合いをしに来る直前のことだったんだろう、とサスペンスの推理をするかのごとく考えた。
三島が口走った内容(一部の真宙くんファンを沸かせたw)のほとんどは真実ではなかったのだろうと思っている派だけれど、あれは勇気の恐れが見せた幻覚だったんだろうと感じている。恐怖を払拭するための理由正当化するための幻覚幻聴
(アイツがスパイだったから…、自分を取り込まれてしまう…、緑を、娘を守らなくては…)
最後に勇気が父に手渡したアプリはきっと、勇気が個人的にずっと取り組んでいて(父の部屋を訪れる前から?)、それにのめり込む一方で病みが深くなったのでは?とも思わせたし、むしろもしかして、終始この舞台自体がそのアプリの世界の妄想で、父の身に起こった幻覚の物語なのか?とすら思わせるような終わりだった。

勇気も、三島も、不憫でならなかった…。
「親を選べない」
新しい自分に上書きできなかった。
緑も娘も、服役後に息子に再会した隆彦も、家族を構築できなかった。

コロナ禍の事情を反映した演出、ディスタンスをある程度保った芝居。(とはいえ、マスクなしの接近、接触はあり)
ご時世を反映しつつ、家族の根深い問題は世の中どこにもゴロゴロ転がっているだろう。
「てにあまる」抽象的なタイトルだけれど、確かにそれぞれがあらゆるものをもてあまし掴みきれないでいる。
家族の物語は深い。この物語の四人にしてみても。
痛快に笑えるのでもない、けれど、哲学的に考え込むようなものでもない。
誰かに語りたい。そう思わせる舞台でした。

長々と観劇感想。てにあまったので、書き出して見た次第でございます。
読了してくださった方がありましたら、感謝いたします。
ありがとうございます。

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